神奈川県横浜市中区の馬車道に面し、街のランドマークとして親しまれている神奈川県立歴史博物館。2026年現在、同館は大規模な改修工事のために長期休館中となっています。横浜の近代化を象徴する国指定重要文化財の建築美や、丹波恒夫コレクションをはじめとする充実した人文系の収蔵品について、現在の状況や見どころを詳しく見ていきます。
本記事では、改修工事のスケジュールや背景、日本建築史における重要性、そしてリニューアル後に再び訪れる際の注目ポイントを多角的に整理・解説します。
神奈川県立歴史博物館の2026年現在の休館状況と改修工事の背景

神奈川県立歴史博物館は、施設の持続的な保全と安全性の向上を目的として、2025年(令和7年)1月から2026年(令和8年)9月(予定)にかけて大規模な改修工事を実施しています。この工事期間中は、展示室や図書室など館内すべての施設が利用できない状態となっています。
今回の改修の主な目的は、歴史的建造物としての価値を後世に残すための長寿命化対策です。あわせて、館内の照明設備をLED化するなどの環境改善も行われており、工事完了後にはより快適で安全な環境で文化財や展示資料を鑑賞できるようになります。休館期間中は現地での観覧ができないため、訪れる際は公式発表の最新スケジュールを確認が必要です。
国指定重要文化財「旧横浜正金銀行本店」の建築様式と歴史
神奈川県立歴史博物館の建物は、単なる展示施設にとどまらず、日本近代建築史における最高峰の一つとして高く評価されています。もともとは横浜正金銀行本店として建設されたもので、1900年(明治33年)に着工し、1904年(明治37年)に完成しました。
設計を手掛けたのは明治期を代表する建築家の妻木頼黄であり、工事監督は遠藤於莵が務めました。建物は重厚な古典主義様式建築でまとめられており、石造りの外観や細部に施された精緻な意匠は、当時の横浜が国際的な金融・貿易都市として急成長していた背景を如実に物語っています。
その後、歴史の変遷とともに建物は姿を変えていきました。1923年(大正12年)9月1日の関東大震災では火災により美しいドームが焼失する被害を受けました。戦後、1947年(昭和22年)には横浜正金銀行を引き継いだ東京銀行が発足し、東京銀行横浜支店として使用されることになります。
歴史的建造物の歩みと復元・開館までの経緯
現在の姿を取り戻すまでには、行政や専門家による保存と活用の長いドラマがありました。1964年(昭和39年)に神奈川県が建物を買い取り、歴史的文化財としての保存を決断します。それに伴い増築・改修工事が行われ、関東大震災の火災で失われていたドーム屋根の復元が成し遂げられました。
そして1967年(昭和42年)3月20日に、神奈川県立博物館として開館を迎えます。当時は日本の総合博物館として先駆的な存在でした。その後、1995年(平成7年)に自然史分野が小田原市の神奈川県立生命の星・地球博物館へ分離・再整備されたことに伴い、当館は人文系の歴史博物館として新たな歩みを始めました。
| 時期・年 | 主な出来事・歴史的転換点 | 備考・詳細 |
|---|---|---|
| 1900年〜1904年 | 旧横浜正金銀行本店の建設 | 妻木頼黄設計、遠藤於莵工事監督による古典主義様式建築 |
| 1923年9月1日 | 関東大震災による被災 | 大火災により建物のドーム屋根が焼失 |
| 1947年 | 東京銀行の発足と利用継続 | 東京銀行横浜支店として営業・使用される |
| 1964年〜1967年 | 神奈川県による買収と復元工事 | ドーム屋根を復元し、1967年3月20日に県立博物館として開館 |
| 1995年 | 人文系の歴史博物館へ再編 | 自然史分野を小田原へ移管し、歴史専門の博物館としてリニューアル |
| 2025年〜2026年 | 大規模改修工事による休館 | 長寿命化対策やLED化などを実施(2026年9月完了予定) |
展示の見どころと丹波恒夫コレクションの価値
リニューアル再開後にぜひ注目したいのが、同館が誇る充実した常設展示と貴重な収蔵品の数々です。神奈川県の考古、歴史、民俗に関する資料が体系的に収集されており、旧石器時代から現代に至るまでの人々の営みを多角的に学ぶことができます。
中でも特筆すべきは、横浜で貿易商を営んでいた丹波恒夫の浮世絵コレクション(6,000点以上を所蔵)です。幕末から明治期にかけての横浜港の開港風景や、時代の変化を生きる人々の姿を描いた浮世絵は、美術的価値だけでなく歴史的資料としても極めて高い評価を受けています。また、本館の南隣に位置する損保ジャパン横浜馬車道ビル(旧川崎銀行横浜支店。本館設計の妻木頼黄に師事した矢部又吉の設計)周辺の歴史的景観と合わせて散策するのも、馬車道エリアならではの大きな魅力です。
馬車道エリアのアクセスと周辺の歴史散策
神奈川県立歴史博物館は、横浜の中心地に位置しており、公共交通機関でのアクセスが非常に便利です。
【アクセス情報】
- 電車:みなとみらい線「馬車道駅」3出口から徒歩約1分、JR京浜東北線・根岸線/横浜市営地下鉄ブルーライン「関内駅」または「桜木町駅」から徒歩約5〜10分。
- 所在地:神奈川県横浜市中区南仲通3-12
現在は改修工事期間中のため館内に入ることはできませんが、重厚な外観や細部の石造り意匠は外からでも十分に鑑賞できます。馬車道周辺には近代建築や歴史的モニュメントが点在しているため、工事期間中であっても周辺の街歩きや歴史散策のスポットとして十分に訪れる価値があります。
【神奈川県立歴史博物館】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:神奈川県立歴史博物館は現在(2026年)見学できますか?
A1:2025年1月から2026年9月(予定)まで大規模な改修工事を行っているため、館内への立ち入りおよび展示観覧は休止中です。
Q2:改修工事はいつまで続く予定ですか?
A2:公式発表によると、2026年9月頃までの期間を予定して工事が進められています。再開の正確なスケジュールは公式ホームページ等で随時発表されます。
Q3:建物の建築的な特徴や見どころは何ですか?
A3:明治期に妻木頼黄が設計した旧横浜正金銀行本店であり、国指定重要文化財に指定された壮麗な古典主義様式建築です。関東大震災で焼失したドーム屋根が後に復元された歴史を持っています。
神奈川県立歴史博物館は、明治の近代建築の粋を集めた国指定重要文化財としての価値と、神奈川・横浜の歩みを伝える貴重な人文系コレクションを併せ持つ、地域になくてはならない文化拠点です。
2026年現在は改修工事の真っ只中であり、一時的に館内見学は叶いませんが、同年9月の工事完了とリニューアルオープンに向けた準備着々と進められています。歴史建築の外観を眺めながら馬車道エリアの散策を楽しみつつ、工事完了後の再開を心待ちにしましょう。